デッサン額の厚み調整 #1 【額縁の深さが足りないときの解決策】

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こんにちは、カギ尻尾です。

額装のお悩みを解決する🌱新シリーズ🌱をスタートします。

今回は全3回のシリーズで、
「絵を額縁に入れようとしたけど、額縁の深さ(厚み)が足りなくて裏板がしまらない」
というとき、お家でもできる厚み調整方法と解決策をご紹介していきます。

額縁の種類は、一般額・デッサン額と呼ばれるような薄い額縁に絞ります。
(油絵用の額縁でも厚みが足りない問題に悩まされることがありますが、それについてはまた別の記事で)


あなたは、ポスター・デッサン・水彩画・版画など紙に描かれた作品や、レース・切り絵など薄い品物を額縁に入れるとき、
「マットをダブルにしようと思ったものの、額縁の深さが足りなくてあきらめた」という経験はありませんか?

そうなんです。いわゆるデッサン額だとダブルマットの厚みに対応していないものが多くあるんです。

とくに、細身でシンプルなデッサン額のなかに裏板がプロペラになっているタイプがあります。
このタイプの額は、紙の作品1枚とマットを1枚(シングルマット)入れたら高確率で厚みがいっぱいいっぱいです。


でも実はこのタイプの額縁、ちょっと加工するだけでプラス10mmくらいの深さを確保することができるんですよ。

「デッサン額の厚みが足りなくて困ったときの解決策シリーズ」第1回目の今回は、とっておきの解決策プロペラ裏板の額縁を使った厚み調整方法をご紹介します!


15年間、作品を額縁にいれる額装の仕事をしていた私カギ尻尾
額縁の深さが足りなくて困ったな、という状況に遭遇したことは数知れず
今日は、そんなとき実際によく使っていた解決策を全3回のシリーズにまとめてみました📔
今まさに、額装品の裏板がしまらず奮闘している💦そんな方の参考になったらとても嬉しいです!

デッサン額の厚み調整 #1【額縁の深さが足りないときの解決策】


「額縁の厚み調整方法・額縁の深さが足りないときの解決策」をまとめたシリーズ第1回目の今回は、お家でもできるとっておきをご紹介します。

プロペラ裏板タイプのデッサン額縁を使ったとき、額縁の深さ(厚み)が足りなくて裏板がしまらない場合の厚み調整方法です

解決策#1:とっておき!プロペラ裏板の額縁だからできる厚み調整

まず、プロペラの裏板って、これです」

デッサン額のなかでもフレームが細身で、シンプルなデザインによく見られるタイプの裏板です。

この裏板の場合、フレームにトンボ金具はついていません。
フレームの内側にプロペラが入る溝があって、溝にプロペラの端がはまることで裏板を固定しています。

このプロペラ裏板タイプの額縁なら、わりと簡単に厚さを調整することができますよ。

そう、
プロペラをはずしてしまえば、プロペラの厚み分だけ額縁を深く使えるのです!

ちなみに、金属の額縁だとネジを入れたりが難しいので、木製の額縁に限ります。

プロペラ裏板の額縁って、ダブルマットにしたら裏板が閉まらないものがほとんどだよね。。。

でもこの方法を使えば、
元々の額縁の深さにもよるけど、
だいたい10mmちかくの厚みをカバーできるようになるよ!

次は実際のやり方をご紹介していきます。

「裏板のプロペラを外して厚み調整する」やり方と手順

ここからは実際に、裏板のプロペラを外して額縁の厚みを調整するやり方と手順です。

まずは作業に必要な道具から、続いて手順を詳しく解説していきます。

【用意するもの】

1.トンボ

プロペラをはずすかわりに、フレームにトンボ金具をつけて裏板が固定できるように加工します。

トンボは、サビにくくて壊れにくいステンレス製がおすすめです。

大きいフレームならトンボの数を多めにします。

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2.プラスのドライバー

フレームにトンボ金具を取り付けるとき必要です。
額縁の付属品のネジ穴は小さめなので、一般的なドライバーだとネジ頭が合わないことがよくあります。
家庭でよく使われるドライバーはNo.2というサイズですが、これだと額縁のネジ類には大きすぎるからです。

合わないドライバーを使うとネジがだめになってしまうので、合うものを使ってください。

わたしは主に、No.2より小さいNo.1(1番)のドライバーを使っています。

3.キリ

トンボ金具のネジを入れる前、フレームに下穴をあけるのに使います。



ここからは手順をご紹介していきます!

手順1.【プロペラをはずす】

裏板をひっくり返すと、2枚のプロペラを固定しているネジがあります。
それをドライバーではずしてください。


作業に入る前に、作品・ガラス・アクリル板・マットなど、額縁に入っているものを全て取り出します。
これは作業中に傷つけてしまうのを防ぐためです。

手順2.【フレームにトンボをつける】

まず、
フレーム裏側のトンボをつけたい位置を鉛筆で印をつけ、キリで下穴をあけます


下穴をあけずに直接ネジを入れると、フレームにヒビが入ることがある

下穴に合わせてトンボを置き、ドライバーで付属のネジを入れていきます。


*ネジはトンボに付属しているものを使うようにしてください。
付属のネジは短いのでフレームの表面に貫通してしまうことはまずないと思いますが、
手持ちのネジを使った場合、貫通する恐れがあります。

これで完成ですプロペラがなくなった分10mm程度の深さが確保できました。

プロペラを固定していたネジ穴は残りますが、裏なのでそれほど気にはならないと思います。(気になる場合には2mm厚程度のベニヤ板を用意して入れ替えればOKです)

「これが実際にプロペラをはずして額装したものです!」

ヒグチユウコさんのポストカードをシンプルなデッサン額に額装しています。
この額装は別バージョンをTwitterにのせているのでよかったらご覧くださいね。


この額縁はもともと、表面のガラス+プロペラの裏板に、ポストカード+シングルマット(マット1枚)を入れたらいっぱいいっぱいで、それ以上の厚みは入りませんでした。

そこで、プロペラを外す方法で厚み調整をして10mm程度の深さを確保しました。

その結果、マット3枚を入れるトリプルマット額装ができるようになり、
さらにスチレンボードを重ねて奥行きを出す加工までする厚みの余裕ができました。

それでもまだ少し余裕がありそうだったので、手前のマットには少し厚みのあるアンティーク帯の生地を貼ってみました。

プロペラ裏板ならではの細身でシンプルな額縁を使って、こんな加工額装ができるのはこの厚み調整方法ならではです。

とっておきの方法なのでよかったら試してみてください。


デッサン額の厚み調整 #1 まとめ


デッサン額に作品を額装するとき、額縁の深さが足りなくて困ったときの解決策をまとめる全3回のシリーズ。
第1回目の今回は、とっておきの「プロペラ裏板タイプの額縁を使った厚み調整方法」をご紹介しました。

簡単におさらいすると、
裏板についてるプロペラをはずして裏板をトンボ金具で固定することで「プロペラの分だけ額縁を深く使えるよ」という解決策です。

プロペラ裏板ならではの細身でシンプルな額縁デザインを生かしながらも、
マットをダブル・トリプルにする、奥行きを出す加工をする、などなど・・・。
額装の自由度が圧倒的に上がるのはこの厚み調整方法ならではです。

とっておきの方法なのでよかったら試してみてくださいね🐱

次回は「ダブルマットの外寸法を小さくすることで厚みを調整する方法」をご紹介します
額縁の裏板がキツくて困っているあなたの参考になったらいいな
がんばるぞぅ、ぬん!

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