【額縁の規格サイズ】絵(キャンバス)のサイズを確認する方法

額装画像

Photo by Kadir Celep on Unsplash


こんにちは、カギ尻尾です。

今回は『額縁の規格サイズ』にスポットをあてていきます。

額縁といっても、フォトフレーム・デッサン・水彩画などの紙を額装する薄い額縁や、油絵・日本画などのキャンバスや木製パネルを額装するための厚みがある額縁など種類がありますよね。

今回はいろいろある中から、
キャンバス など『厚みのある絵を飾るための額縁』に絞ってお話しします。

紙に描かれた厚みのない作品の場合は、マット台紙で空間をとって額装するため、額縁と作品がぴったりサイズである必要はありません。(むしろピッタリサイズじゃだめ)

例えばこんな感じです。

こちらの額装はTwitterに載せているのでよかったら覗いてみてくださいね

こちらはヒグチユウコさんの「ポストカードブック」から2枚のポストカードをひと回り大きな額縁に入れてマットで額装したものです。

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一方、油絵や日本画などの厚みがある作品は、そのまま額にはめ込むかたちで額装します。
裏側から見ると、額縁の中はこんな感じです。

そう。
厚みのある額縁は、作品がぴったり入るサイズで作られているんです。

だから、作品(キャンバス)のサイズ知っておかなければ、額縁選びを失敗してしまいます。

でも、簡単なことなので大丈夫です!

キャンバスは日本規格でサイズが決まっていて、日本の画材屋さんでは、規格に合わせた寸法のキャンバスが売られています。

そしてもちろん、額縁も日本規格のキャンバスに合わせて作られていますよ。
なので、日本で買ったキャンバス(絵)なら、そうやたらめったらいろいろなサイズがあるわけではないんです。

額縁を購入する前に作品のサイズを確認しておけば、もう、額縁のサイズ選びに迷うことはありません!


15年間、作品を額縁にいれる額装の仕事をしていた私カギ尻尾

今日は、額縁選びの基本となる「サイズ」に関してポイントをまとめました📔
額選びの最初の一歩を迷わないように、参考になったらうれしいです!

【額縁の規格サイズ】絵(キャンバス)のサイズを確認する方法

キャンバス(絵)のサイズを確認する方法を、簡単にざっくりまとめるとこんな感じです。

1.日本で購入したキャンバス(絵)の場合⇒ 作品裏面のサイズ表記を見るだけ

2.日本で購入したキャンバス(絵)ではない場合⇒ 定規・メジャーで寸法を測り、日本の規格サイズと照らし合わせてみる

ここからは、1と2それぞれの場合について詳しくお話ししていきます!

1.日本で購入したキャンバス(絵)のサイズを確認する方法


まず、作品の裏面を見てください。
すると、こんな感じで、作品のサイズが木枠に印刷してあります。


これの場合、『SM』と印刷されています。
「エスエム」もしくは「サムホール」と呼ばれる日本の規格サイズです。

キャンバスの木枠メーカーはいくつかありますが、日本のものなら必ずと言っていいほど、サイズが明記してありますよ。

作品がキャンバスではなく「木製パネル」の場合は、側面にサイズが書いてあることが多いです。
また、紙が貼ってあってサイズ表記が見えないということも。

そんなときは、実際に寸法を測ってみて次項の「日本規格のキャンバスサイズ一覧表」と照らし合わせてみてください。

木製パネルの場合に注意しなくてはいけないのが、キャンバスサイズに合わせた木製パネルが多い一方で、紙のサイズ(A4・B5など)に合わせたパネルもあることです。

紙サイズのパネルだとそのまま額装できる額縁は規格ではほぼなく、仮縁(展示会用の額)くらいしかありません。
そのため、パネルから作品(紙)を外して、薄い額縁に額装することが多いです。

もし、パネルのまま額装したい場合は、寸法に合わせて額縁をオーダーします。

紙サイズではなくキャンバスサイズなら、パネルのまま日本規格の額縁に額装できます。

厚みのある額縁は、油絵やアクリル画用だけではありません。
金・銀の箔を貼った粋なもの、デコレーションのないシンプルなものなどなど。
日本画に合うものもたくさんありますよ。

ごくごくまれに「木枠の表裏を間違えてキャンバスを張ってる」なんてことも・・・
もしサイズ表記が見当たらなかったら、定規やメジャーで実際に測ってみてね

2.日本で購入していないキャンバス(絵)のサイズを確認する方法

海外で絵を購入することもあると思います。

日本規格のサイズは国内だけのものなので、海外のキャンバス(絵)は日本規格に合わないことがほとんどです。

また日本同様、独自の規格サイズがある国もあります。
代表的な例で言うと「フランス」がそうです。

「フランスサイズ」と呼ばれるフランスの規格があって、絵の裏に日本と同じようなサイズ表記がしてあることがあるよ

この場合、キャンバスの裏面に日本と同じようなサイズが表記があっても、日本の規格サイズとは少しずつ異なることがほとんどなのでご注意ください。

何はともあれ、

まずは、定規やメジャーで実際にキャンバス(絵)の寸法を測ってみましょう。

日本の規格サイズと同じ寸法だったら、日本の規格額縁で額装できます。

日本規格のキャンバス寸法」は、次項に一覧を載せていますのでそちらで確認してくださいね。

日本規格と合うサイズがなければ、作品の寸法に合わせて額縁をオーダーで作るのがおすすめです。
この方法が一番作品にダメージを与えず、かつ、似合う額に額装できます。


日本規格にかなり近い場合に、5mm以内の誤差であれば、既成の額縁に額装できる可能性もあります。

また、日本の木枠に張り替えたり、マットを使った加工額装などの方法もあります。
絵を張り替える場合には、作品にダメージを与える恐れがあるので慎重に検討してください。

【額縁のサイズ】日本規格のキャンバスサイズ一覧・寸法を詳しくご紹介

そもそも、日本規格のキャンバスサイズって?
ということで、規格寸法の一覧表を作りました!

額縁は、日本規格のキャンバス寸法がぴったりに入るように、サイズを合わせて作られています。

お持ちの絵がどのサイズかわからない場合は、この一覧表と照らし合わせてみてくださいね。

「日本規格のキャンバスサイズ一覧表・Standard canvas sizes in Japan(units: mm)」


単位はmmです。

号数『F』サイズ『P』サイズ『M』サイズ『S』サイズ厚み
0180 ✖️ 14020
SM227 ✖️ 15820
3273 ✖️ 220273 ✖️ 190273 ✖️ 160273 ✖️ 27320
4333 ✖️ 242333 ✖️ 220333 ✖️ 190333 ✖️ 33320
6410 ✖️ 318410 ✖️ 273410 ✖️ 242410 ✖️ 41020
8455 ✖️ 380455 ✖️ 333455 ✖️ 273455 ✖️ 45520
10530 ✖️ 455530 ✖️ 410530 ✖️ 333530 ✖️ 53020
12606 ✖️ 500606 ✖️ 455606 ✖️ 410606 ✖️ 60620
15652 ✖️ 530652 ✖️ 500652 ✖️ 455652 ✖️ 65220
20727 ✖️ 606727 ✖️ 530727 ✖️ 500727 ✖️ 72720
25803 ✖️ 652803 ✖️ 606803 ✖️ 530803 ✖️ 80325
30910 ✖️ 727910 ✖️ 652910 ✖️ 606910 ✖️ 91025
401000 ✖️ 8031000 ✖️ 7271000 ✖️ 6521000 ✖️ 100025
501167 ✖️ 9101167 ✖️ 8031167 ✖️ 7271167 ✖️ 116725
601303 ✖️ 9701303 ✖️ 8941303 ✖️ 8031303 ✖️ 130325
801455 ✖️ 11201455 ✖️ 9701455 ✖️ 8941455 ✖️ 145530
1001620 ✖️ 13031620 ✖️ 11201620 ✖️ 9701620 ✖️ 162030
1201940 ✖️ 13031940 ✖️ 11201940 ✖️ 9701940 ✖️ 194030
1301940 ✖️ 162030
1502273 ✖️ 18182273 ✖️ 16202273 ✖️ 14552273 ✖️ 227337
2002590 ✖️ 19402590 ✖️ 18182590 ✖️ 16202590 ✖️ 259037
3002910 ✖️ 21822910 ✖️ 19702910 ✖️ 18182910 ✖️ 291037
5003333 ✖️ 24853333 ✖️ 21823333 ✖️ 19703333 ✖️ 333337
(単位:mm)

メーカー・店舗・サイトによって1mm程度の誤差がありますが、額縁は3mm程度の違いなら入るように余裕をもって作られています。

*キャンバスの厚みは、メーカーや張り込む画布の厚みによっても違ってきますが、木枠自体が25号から厚くなることが多いです。

木製パネルの場合は、20号から厚くなること多く、額装するときに注意が必要です。

同じ号数でも『F』『P』『M』『S』の4種類があり、長辺は同じ寸法ですが、短辺が異なります。

『F』が基準になり、『P』は『F』より短辺が短くなり、
『M』は『P』よりさらに短辺が短くなります。

3号を例にあげると
「F3」273×220
「P3」273×190
「M3」273×160
長辺は同じで短辺だけ小さくなっていくよ!
見た目にはFP→ Mでだんだん細くなっていく感じだよ


『S』は「square(正方形)」のエスを意味していて短辺が長辺と一緒。
つまり正方形です。

日本規格の最小サイズは0号で、最大は500号までありますが、大きな額縁店でも実際に在庫しているのは最大200号くらいまでです。

ちなみに『F』『P』『M』の語源は、『F』は「Figure(人物)」・『P』は「paysage(風景)」・『M』は「marine(海の)」という単語からきています。

日本で風景画というと「landscape」という単語の方が馴染みがあるよね

「paysage」はフランス語が語源になっているよ

規格でもサイズによってはほとんどない額縁もある

ここで気をつけなければいけないのが、「規格でも額縁屋さんに置いていないサイズがある」ということです。

規格ならどのサイズでもすぐ手に入るというわけではなく、だいたい置いてあるサイズと、ほとんど置いていないサイズとが存在します。

置いていないだけならまだしも、「特別寸法扱いになるサイズまで存在する」ので要注意です。

早々に言ってしまうと、『S』サイズの額縁は特別寸法扱いになります。

ここからは、そんな気をつけるべき規格サイズについて詳しくお話しします!

規格であって規格じゃない【Sサイズは特別寸法扱い】

一番気をつけなければいけないのが正方形の『S』サイズです。


キャンバスや木製パネルなど、厚みのある作品の『S』サイズの額縁を注文するとき、ほぼ全てのお店で特別寸法扱いになります。

『S』サイズのキャンバスは普通に売られていたりするのに、額縁となると在庫しているお店はなかなかないんです。。。

価格も特別寸法の扱いなので、同じ号数の『F』『P』『M』より高くなることがほとんどだと思います

正方形の額縁でよく額縁屋さんで見かけるサイズは、100✖️100mmとか、150角200角250角300角なんかがあるよ

そう、これらはキャンバスを額装するための額縁としては作られていないんだ

紙の作品を額装するための「薄い額縁」とか、「ボックスフレーム」と呼ばれる箱状の額縁だよ


キャンバス正方形『S』サイズの額縁が欲しいときは、額縁店でオーダーすることになります。

そんなときのおすすめは、「モールディング」と呼ばれる額縁です。

モールディング(額縁)のコーナサンプルから気に入ったものを選び、寸法をオーダーします。

メーカーに在庫があれば、1週間くらいで出来上がることがほとんど。

世界各国から取り寄せているモールディングは、個性的なデザインがたくさんあって選択肢が多いです。
そのため、作品とインテリアにぴったり合う額縁を見つけることができますよ!

普通に規格で買えるサイズでもモールディングでオーダーすることもあるよ
理由は、クラシックからモダン・シンプルから個性的・さらには自然環境に配慮した材や木の種類にこだわったナチュラルなものまで、とにかく選択肢が豊富なので、割高になっても「この額以外考えられない」という額縁に出会ってしまうことがあるから。。。

額縁店が多く在庫しているサイズとほとんどないサイズ


どのお店でも、在庫が一番多い額縁のサイズは『F』です。

『P』『M』はほとんど在庫はしていない、通常在庫しているのは『F』だけというお店は多いです。

そのため、規格サイズであっても『P』『M』だと取り寄せが必要になり、思いも寄らないほど時間がかかることもよくあります。

例えば国産ではなく海外で製造されている額縁を取り寄せする場合、入荷に2ヶ月かかることも珍しくありません。

価格に関しては、『P』『M』のどちらも『F』の同じ号数と一緒になることが多いよ


また、規格サイズの『F』であっても大きいサイズは在庫していないお店が多く、よく描かれるサイズは額縁も種類豊富に揃っています。

一般的に額縁店で在庫の多いサイズは、『F0』『SM』『F3』『F4』『F6』『F8』『F10』あたりです。

『F12』以上になると途端に在庫しているお店が少なくなります。

在庫がない場合、規格の額縁サンプルから選んで取り寄せに。
メーカーさんに在庫があればそれほど日数はかかりませんが、なくて、それが海外製造の額縁だったりすると驚くほど時間がかかってしまうこともあります。

そんなとき、急ぎで額縁必要なかたは、前項の『S』でご紹介した「モールディングでオーダー」するのも一案です。

規格の額縁から取り寄せるより割高になることが多いものの、選んだ竿(モールディング)の在庫さえあれば1週間程度で出来上がってきます。
また、世界各国から仕入れているので、豊富なデザインの中から選べるところも魅力です。

個人的にはモールディングメーカー「ラーソンジュール」さんの額縁が特におすすめ!

ラーソンジュールさんはシーズンごとに新作が入荷して楽しい!
斬新なデザインも多いので、既成の額縁でピンとくる額が見つからない人はぜひ一度見てみてくださいね

直接の購入はできませんが、額縁専門店であれば取り扱い店の多いメーカさんですよ。

まとめ

今回は、キャンバス など『厚みのある絵』を額に入れて飾るために必要な、額縁・絵のサイズについてお話ししてきました。

簡単におさらいすると、
キャンバスなど厚みのある絵は規格サイズが決まっていて、額縁はそれがぴったり入るように作られています。

サイズを確認するにはまず、
キャンバスを裏返して木枠に書かれているサイズを見ます

もしサイズが見れなかったり、海外で買った絵の場合は、実際に寸法を測ってみます。

寸法を測ったら「日本規格のキャンバスサイズ一覧表」を確認です。
同じ寸法があれば規格の額縁で額装できます。
ない場合は特別寸法扱いになるので、寸法を指定して額縁をオーダーするのがおすすめです。

日本規格に近ければ、木枠から外して規格の木枠に張り替える方法もあります(絵にダメージを与えるリスクあり)。

また、規格サイズでも『S』サイズのキャンバスを入れる額縁は特別寸法扱いになるので注意が必要です。

ところで、サイズがわかってもデザイン選びで迷うこともあるよね

そうだね、そんなときは「実際に絵を持って額縁店へ行ってみる」のがおすすめだよ!

完全に乾いている絵なら、服と同じように「試着(?)」というか、額縁に入れてみることができます。
そうすると似合う額を選びやすいし、お店のかたに相談したり、第三者の意見も聞けることが利点です。

とはいえ、絵を持ち歩くのが心配な場合もありますよね。
そんなときは絵の写真を撮って持って行くだけでもイメージがわきやすくなりますよ。

一度額装したら頻繁に額縁を交換することは少ないと思います。
だからこそ、あなたの大切な絵が、納得のいく「最高の相棒(額縁)」に額装できますように。

次回は、規格サイズのはずなのになぜか額縁に入らない」時の対処法についてお話しします。

次も楽しく読んでいただけるように頑張ります、ぬん!


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