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こんにちは、カギ尻尾です。
紙の作品をマットに固定するとき、どんなテープを使っていますか?
普通のセロハンテープや、はがしやすいという理由でマスキングテープを使っていませんか?
水彩画・版画・デッサン画はもちろん、大切な写真やポスターを額装するのには、どちらのテープもおすすめできません。
結論から言うと、額装に使うべきテープは「額装用テープ」一択です!
その理由は、額装用のテープなら、末永く「大切な作品を劣化させることなく」固定できるように配慮されて作られているからです。
今回は「額装用テープ」にスポットを当てたいと思います。
「イチオシの額装用テープ」のご紹介と、額装用テープを使うべき理由も詳しくお伝えしていきます!

15年間、作品を額縁にいれる額装の仕事をしていた私カギ尻尾
テープのせいで作品がベタベタになったり茶色く変色したりなど、劣化してしまったのを見たことは数知れず・・・そんなときは悲しい

額縁店で額装していない場合は特にご注意!
例えば、「写真の入った額縁を数年後に開けてみたら普通のテープが使われていた」ってことも

そこで今回は「額装するときに使うテープ」についてまとめてみたよ📙
いま、「大切な人の写真や、お気に入りの作品を額縁に入れたいけど、どんなテープを使えばいいの?」と悩んでいるあなたの参考になったら嬉しいです!
写真や作品を劣化させない・額装に使うべきおすすめのテープ3選
さっそく、額装に使うべきおすすめのテープをご紹介します!
ご紹介するテープは全て「アシッドフリー」もしくは「中性紙」のテープなので、テープによる額装品の劣化を防ぐよう配慮されています。(アシッドフリーや中性については次項に詳しく書いています)
よかったら参考にしてください。
【FILMPLAST(フィルムプラスト)P90】

”パルプを含まない中性紙の接着テープです。テープ自体が固くなったり、変色することがありません。本の綴じ部分の補強、額装用として作品の固定に適しています。”
ドイツの老舗メーカー「ネーシェン社」製のアシッドフリーテープです。
この商品は”「写真活性度試験(PAT)」に合格済み”という安心の品質。
幅20mmの白色のテープが50m巻きになって箱に入っています。

箱にはカッターが付いていて、簡単に好きな長さにカットできるので使いやすさも抜群です!
作品に優しいテープって粘着力は大丈夫なの?と心配になるかもしれませんが、固定力の強さもしっかりあります。
紙の作品や写真で、よっぽど分厚いものでない限りは問題なく使えます。
実際に、今までこのテープを使っていて、固定力が問題で作品がズレたという経験はありません。
日本の額縁店でもよく使われているテープで、個人的にも長年愛用していることからも安心しておすすめできる商品です!

さらに強粘着のものをお探しの方は、同メーカーから”約2.7倍”の粘着力の「フィルムプラストP90プラス」が出ています。もちろんこちらもアシッドフリーです。

【Framer’s Tape II(フレーマーズテープ)】
アシッドフリーかつ、可塑剤を含まない長期保存向けの接着剤を使用していて、弱い熱で簡単に剥がすことができます。
”弱い熱をかけることで接着剤が溶解し、ほとんどの素材の表面を傷めることなくきれいに剥がすことができる”というのがこのテープの最大の特徴で、これは再額装する可能性がある場合にもかなり心強いです。
ポリプロピレン製のため、紙や布製のテープより薄く、強度もあると言われています。
実際に手に持ったとき、はっきり薄いことがわかりますし、手では切れない強さも感じられます。
アメリカの額縁メーカー「ラーソンジュール」から出ているテープで、”額装用テープとしてアメリカでは最も使われている”そうで、評価も高く、安心して使える商品です。
サイズバリエーションは、白色タイプの幅19.1mm/25.4mmの2種類と、クリアタイプの幅19.1mmがあり、いずれも55m巻きです。

*現在「Framer’s Tape II(フレーマーズテープ)」は、Amazonで白色の25.4mm幅が販売されているのみで、楽天・Yahooでの取り扱いがないようです。(2025年8月時点)
Framer’s Tape II(フレーマーズテープ)はカッター付きの箱に入っていないので、使うときはハサミやカッターが必要になります。頻繁に使うならテープディスペンサーに入れるのが便利です!

【アートコーナーピタック】
「アシッドフリーだろうが何だろうが作品にテープを付けたくない」という方はこちら!日本の画材用紙メーカー「ミューズ」の額装専用「コーナーシール」がおすすめです。
「コーナーシール」は、三角のポケット(袋状になった部分)に作品の四隅を収納して固定する商品のため、作品や写真に直接粘着部分を付けることなく、額装ができます。

「ミューズ」の「アートコーナーピタック」はサイズバリエーションも豊富で、30×30mm/50×50mm/80×80mmの3種類があるため、作品の大きさやマット幅によって使い分けできる点も便利です。
この商品なら、作品に粘着部分が付かないので、全く作品を痛めずに取り付け・取り外しができます!
ですが、弱点もあります。
それは、固定力がいまひとつなところ。
この弱点をカバーするために、補強の額装用テープをコーナーピタックの上から貼ります。
このとき、作品に粘着部分がかからないように注意してください。
詳しいやり方は、後続の記事に載せていますのでよかったらご覧ください。
コーナーシールは、作品に直接テープを付けないのでどうしてもズレやすく、狙った位置に固定するのが慣れないうちは少し難しいです。
大きな作品や、紙の重さによっては固定することができないこともあります。
何にせよ、作品にテープを付けずに額装できるのはこの商品ならでは。
これは画期的だと思います。
大きくない作品にはすごくおすすめです!

アシッドフリーとは?額装用テープを使うべき理由
額装に使うテープは「額装専用のテープ」を使うべきだと思います。
その理由は、額装専用として販売されているテープは”作品や写真を劣化させる「酸」を含まない”からです。
『アシッドフリー』とは、「酸性成分が入っていない=無酸」のことで、無酸であることによって作品の劣化を防ぐことができます。
ちなみに、画材用紙などでアシッドフリーと同じ意味として使われることの多い「中性紙」という言葉がありますが、厳密に言うと全く同じではありません。
「アシッドフリーは無酸」なのに対し、「中性紙は中性ではあるが、必ずしも無酸とは限らない場合もある」からです。
とはいえ、中性紙もPH値が酸性ではないことは間違いありません。そのため通常の製造方法からできる酸性紙より、劣化のリスクはかなり少ないと言えます。
ところで、「作品の劣化」と聞いてすぐにイメージが浮かびますか?
実は、「テープを貼られていた紙が劣化している」ということは結構身近にあります。
テープ自体が固くパリパリになって、貼られていた媒体(紙)も茶色く変色したり、ベタベタになっているのを見たことはありませんか?
これが作品が劣化している状態です。
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ポストカードをマットに固定するとき、セロハンテープを使ったことが原因です。テープを剥がした跡にもベタベタが残り、ポストカードも茶色くシミになってしまいました。
「裏面だからセーフ」とも言えるかもしれませんが、薄い作品だったらシミが透けてしまうし、作品(ポストカード)が劣化してしまっていることは紛れもない事実で、良い状態とはとても言えません。
作品の劣化を防ぐための配慮がされているテープを使うことで、大切な写真や作品を「末永く良い状態で飾る=保存する」ことができます!
まとめ
今回は「額装に使うテープ」をご紹介しました。
最後に、それぞれのテープの特徴をまとめておきます!
商品名 | 特徴 |
FILMPLAST (フィルムプラスト)P90 | アシッドフリー/紙製/ほどほどに固定力がある/カッター付きの箱に入っていて使いやすい/より強粘着の「フィルムプラストP90プラス」もある |
Framer’s Tape II (フレーマーズテープ) | アシッドフリー/ポリプロピレン製で紙製のテープより薄い/ほどほどに固定力がある/弱い熱をかけることで作品を痛めず剥がすことができる |
アートコーナーピタック | 中性紙/紙製/粘着部分が作品に直接付かない/作品を痛めず取り外しできる/固定力がそれほど強くない |
額装品をできるだけ劣化させないために、アシッドフリーや中性など、配慮のされたテープをぜひ使ってください。
絵だけでなく、大切な写真も同じです。
遺影などは一度額縁を開けてみるといいかもしれません。写真が普通のセロハンテープで固定されていることがあります。
いま日本の額縁店では、写真の劣化に配慮したテープを使うのは当然ですが、遺影は額縁店ではないところで額装されていることもあるようです。
実際に、昨年大切な人を亡くし、葬儀会社さんに遺影を作っていただいたところ、写真がセロハンテープで固定されていました。
実はその経験から「もっと多くの人に額装に使うテープのことを知ってもらえたら」と、今回このテーマを選びました。
額装するということは単に飾るだけでなく、『額装品(作品)を保存する』という大切な目的があります。
あなたの大切なものを末永く美しい状態で飾るために、この記事が参考になればとてもうれしいです!

次回は作品をマットに固定するときの「テープの貼り方」についてです📙
あなたの額装のお悩みを解決できるようにがんばるぞ、ぬん!

後続記事はこちらです!
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コメント
額装用のテープをさっそく購入しようと思います。
ぜひ「テープの貼り方」を教えてください!
コメントありがとうございます!
ブログに初めてのコメントをいただいたので、すごく嬉しいです!励みになります😊
お返事が遅くなってしまってすみません、コメントに気づくのに少し時間がかかってしまいました。
さっそくテープを購入されるとのこと、光栄です!
額装用テープって目立たない存在ですが、作品の保存に大きく関わる大切な道具なんですよね。
「テープの貼り方」については、来週中には記事をアップする予定です。
よかったらまた覗きに来てくださいね。
今後ともどうぞよろしくお願いします!
これからアップされるんですね、よろしくお願いします!初心者なので、とても助かります。
ご返信ありがとうございます。気付くの遅れてごめんなさい。コメント頂いてからホクホクしながら書いた記事アップしています。ご参考になれば嬉しいです!!ご不明なところがあればまた何でもご質問くださいませ。【作品をマットに固定するときのテープの貼り方と手順】