【額縁に隙間が見えるときの解決策】規格のパネルなのにゆるい!

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こんにちは、カギ尻尾です。

前回に引き続き、厚みのある絵を額縁に入れるとき、おきると困る「問題」の解決策をご紹介します!


どんな「問題」かというと。

「規格サイズなのにきつくて絵が額縁に入らない」もしくは「ゆるくて隙間が見えちゃう」など、『大きさの問題』です。


前回は「規格サイズなのにきつくて絵が額縁に入らない」ときの解決策に絞ってお話ししました。

今回はその逆、「ゆるくて隙間が見えちゃう」または「絵が落ちてしまう」ときの解決策をご紹介していきます。

既製品のキャンバス・木製パネル・ボードなど、厚みのあるものに描かれた絵が額縁にうまく入らない💦
そんなとき、お家でもできる解決策をご紹介していますので、参考にしていただけたらうれしいです!

15年間、作品を額縁にいれる額装の仕事をしていた私カギ尻尾。
作品がうまく額縁に入らない状況に遭遇したことは数え切れないほどです。
そこで今日は、作品がゆるくてでうまく額装できず困ったとき、実際によく使っていた「解決策」をまとめてみました📔

(✈ちなみに海外で購入した絵でも、多少の誤差ならうまく入ることがあるのでよかったら試してみてくださいね✈)

【額縁に隙間が見えるときの解決策】規格サイズの絵なのにゆるい

今回は、作品が額縁の内寸法より小さすぎて額装したときに左右もしくは上に隙間が見えている
さらには隙間どころか、額縁の「かかり」に引っかからずに作品が落ちてしまっている場合の解決策です。

この状況は、キャンバスに描かれた作品ではほとんど起こりません。
板にそのまま描かれた「板絵」や、「日本画」など木製パネル・キャンバスボードの作品を額装するときに起こりやすい問題です。


というのも、額縁の内寸法は画布が張られたキャンバスを無理なく入れることができるように、余裕をもって作られています。

画像のように、キャンバスを入れても少し余裕があってきつくなく、正面から隙間が見えるほどゆるくないのが通常の状態です。

そのため、画布の厚みぶんがない「板絵」や「日本画」は余裕がありすぎてガタつきがちに。
さらに、板絵は桟の入らない1枚板のため反りやすく、よけい隙間が出たり落ちたりしやすくなります。

でも、きつい場合よりも簡単に解決できることがほとんどなので大丈夫です!

ちなみに海外の絵でも、日本規格と『15mm以内の誤差』なら、既製の額縁でうまく額装できる可能性があるので試してみてください。
それ以上の差があるとマット台紙を入れる加工額装や、特別サイズとしてオーダーを検討する必要があります。

*日本の規格サイズを確認したい方は、「額縁の規格サイズ」の記事をご覧くださいね。

それではさっそく、作品が額縁の内寸法に対して小さすぎてうまく額装できない時の解決策を具体的にご紹介していきます!

1.作品と額縁のサイズを確認する

単純すぎて忘れがちですが大切なこと。
落ち着いて、もう一度サイズを確認してみてください。

キャンバスではなく木製パネルやボードでも規格サイズであれば、落ちてしまうほど隙間があくことは通常ではありません。
それが起こっているということは、単純に額縁のサイズを間違えて購入してしまった可能性や商品不良なども考えられます。


A.「作品のサイズと額縁のサイズを確認してみましょう

サイズを簡単に確認するとき、まず見るのはこちらです

木製パネルのサイズは、木枠の側面に印字してあることが多いです。日本画などで紙が貼ってあり見えない場合は定規で測ってください。

キャンバスは通常、木枠の裏面に印字してあります。

キャンバスボード裏面に印字してあります。板絵などのサイズが書かれていないものは定規で測ってください。

額縁のサイズは、に明記してあります。

確認ポイント1:「F/P/Mを間違えていませんか?
《例》P6号のキャンバスなのに、F6号の額縁だった。

確認ポイント2:「号数は合っていますか?
《例》F号のキャンバスなのに、F号の額縁だった。

確認ポイント3:「 A/Bサイズではありませんか?
《例》A4のキャンバスボード(パネル)なのに、F4号の額縁だった。

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これで間違いなかったら商品不良の可能性も出てくるよ

B.「定規を使って実際の寸法を確認しましょう

定規で額縁の内寸法を実際に測ってみてください。

確認ポイント:「額縁の内寸は規格サイズからどのくらい大きくなっていますか?
《例》F6号なら規格サイズは「410×318mm」、額縁の内寸法は通常5mm程度のびをみて作られているはずなので、「415×323mm」くらいあります。
これが15mm以上も大きくなっている場合は、額縁の商品不良ということになります。
購入したお店に相談して交換してもらいましょう。

これで問題が見つからなければ次の解決策を試してみてね

2.詰め物をする

額縁には「かかり」と呼ばれる部分があって、そこに作品がのる(引っかかる)ことで額に入った状態になります。

「かかり」


かかりの幅はだいたい8mmくらいありますが、この幅全てに作品がのっていなければだめなのではありません。

上下左右全てのかかりに、作品が1mmでものっていれば大丈夫です。
わずかでものっていれば隙間は見えないし、作品が落ちることもありません。

額縁の内寸法に対して作品のが小さいときは、左右どちらかに作品が片寄ることで隙間ができ、誤差が大きければ落ちてしまいます。

また、作品のが小さいときは作品は下に片寄るので、上に隙間ができます。

このふたつのポイントを理解して詰め物をすれば、隙間があいたり落ちたりという問題は解決できます!

もし、かかりに1mmものらないほどに作品が小さい場合は、
「サイズを間違えている」か「商品不良」、もしくは作品がそもそも日本の規格ではないかのどれかです。

A.「作品を額に入れ、どちらかの角にぴったり寄せてから隙間を定規で測ります

こんな感じにキャンバスを額縁の角に寄せてください。
上の画像はSMサイズのキャンバスをF4号の額縁に入れているので、ありえないほどの隙間ができています(ちょうどいいサイズのものがなくてすみません)。

ポイント:「隙間を定規で測ると何mmありますか?
角に寄せて縦と横の隙間がそれぞれどのくらいあるかを測ります。


*このとき、150mmの短い定規があると測りやすくて便利です。



B.「縦横それぞれの隙間を2で割ります

ポイント:「作品をバランスよく見せるために、通常は均等に詰め物を入れます
横幅に詰め物をする時、左は入れずに右だけ詰め物するというやり方は基本的にはしません。
(絵の見せたいバランスによって、意図的に変えることはあります。)

《例》横幅の隙間が11mmあるなら、割る2で、左右それぞれ5.5mmずつの隙間を埋める必要があると考えます。


C.「詰め物を準備します

ポイント:「窮屈になりすぎないくらいの詰め物を用意します
《例》左右の隙間が5.5mmある場合、窮屈になりすぎないように5mmずつくらいの厚みを詰めるのがベストです。

詰め物の材料は厚紙でも何でもできます。

でも、おすすめはスチレンボードです。

スチレンボードなら厚みやサイズが豊富に販売されているので、簡単に作業でき、きれいに仕上がります。
また、厚紙と違って柔らかいのでカッターで切りやすいところもおすすめポイントです。

私がよく使うスチレンボードは「光栄堂」さんの商品です。

厚みのバリエーションが1mmから細かくあるので様々な隙間に対応できます。

こちらは5mm厚のA3サイズ↓


こちらは3mm厚のA3サイズです↓


東京だと新宿の「世界堂」さんや神保町の「文房堂」さんでも買えますよ!


例で考えると、
5.5mm隙間をうめたいので、5mm厚のスチレンボードを用意します。

スチレンボード以外に、定規(重さのある金尺が使いやすい)・カッター・カッターマット・細めのペンを用意してください。

D.「作品の厚みを測ります

ポイント:「作品の厚み(高さ)より1mm程度低い詰め物を作ります
1mm低くするのは、詰め物のスチレンボードが作品より高くならないようにするための保険です。

《例》作品の厚みが19mmの場合、詰め物のスチレンボードは18mmの幅に印をつけてカットします。

E.「カットしたスチレンボードを隙間に詰めます


ポイント:「スチレンボードを切る時は最初から力を入れないようにしましょう
スチレンボードは柔らかくて刃をとられやすいです。
一発で切り落とそうとせず、数回に分けてだんだんに力を入れることが安全に切るコツです。

左右両側を同じく詰めたら、
縦の隙間も横と同じように測って、詰め物を作って入れてください。


これで隙間はなくなったと思います。

基本的には、かかりの幅より細い詰め物しかできないよ。
それより大きな隙間には、マット台紙を入れる加工や特寸オーダーを検討する必要があるよ。

ご紹介した解決策ができないほど隙間があいているなら、サイズを間違えているか商品不良、もしくは絵がそもそも日本の規格ではないかのどれかです。

3.お店に作品と額縁を持って行き相談する

1→2の解決策を試しても隙間が改善されない・落ちてしまう場合は、額縁と作品を額縁店に持って行き相談してみてください。

その際、できれば額縁を購入したお店に持っていくのがおすすめです。
不良品の場合はもちろんですが、購入した側のサイズ間違いだったとしても返品交換してもらえる可能性があります。

既製品の額縁でマット加工する、特別サイズとしてオーダーするなど、作品に最善の方法を提案してもらえると思います。

ポイント:「額縁を特別サイズ(特寸)オーダーするときは、作品の寸法から金額を見積ります
作品に合わせて額縁を作ったらいくらになるか、金額の見積もりをしてもらいましょう。

既製品の額縁を特別サイズでオーダーすることもありますが、出来上がりに時間がかかることが多いので「モールディング」で作るのがおすすめです。

額縁店にはモールディングのコーナーサンプルが置いてあるので、その中からイメージに合いそうなものをいくつか選んで見積もりを出してもらいます。

オーダ額縁専用の「モールディング」って、いろいろな国で作られていてデザインの選択肢がすごく多いよ!
納期もそれほどかからないことが多いから(1週間くらい)、早く飾りたい人にもおすすめだよ。

まとめ

今回は、規格サイズのキャンバス・木製パネル・キャンバスボードなどを額縁に入れた時、隙間が見えてしまったり落ちてしまう場合の解決策をご紹介しました。


おさらいするとこんな流れになります。

まず、サイズが間違えていないか再確認する。

詰め物をする。

額縁店に持ち込み相談する。

ご紹介した方法で解決しなかった方は、
日本の規格サイズをまとめた記事「額縁の規格サイズ」で、寸法を確認してみてくださいね。

また、額縁店に作品と額縁を持って行って相談するのもおすすめです。
サイズ間違いや商品不良、もしくは作品が日本の規格サイズではないなどの可能性も考えられます。

今回ご紹介した方法は実際に額縁店で使われる方法ですが、お家でもできる方法だと思います。

お困りのときはぜひ試してみてくださいね。
そして、「解決した!」と喜んでくださる方がいらしたらとても嬉しいです!

次回は「厚みの問題」に移ります。
作品が厚すぎるなどの問題で額縁に入らないときの解決策のご紹介です!

額装の問題が解決する記事になるよう頑張ります、ぬん!

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